PARDという
デジタルなライフルスコープ。狩猟向けの光学機器は既に新たなフェーズに突入しています。シューター、ハンターがこれまで慣れ親しんできた純粋な光学機器ではなく、本体に内蔵されているハイレゾのサークル液晶はもちろんのこと、マルチなセンサーモジュールも搭載している。ここにAIが載ってくると、まるで攻殻機動隊にでもでてきそうな光学デバイスの未来が見えてきます。ちなみにPARD(パード)と読みます。
【パードという名の】
グローバルモデルは無線対応ですが、日本向け仕様製品からは無線モジュールが取り外されています(*無線機能を有していないため国内でも安心してご使用をいただけます)。このモデルは佐賀県伊万里市に本社を構える、株式会社あくあぐりーん様(輸入会社)にて日本語化への対応も完了しているモデルです。当方でもお取扱いをしておりますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
【早すぎるゼロイン】
PARDはオプトエレクトロニクス製品であり、一般的なライフルスコープに搭載されているウィンデージ、エレベーションといった物理機構は搭載されていません。上の写真、赤色矢印が1発目の着弾地点です。PARDの凄さその①、ゼロインが1発で完了。これはどういう意味かと簡単に説明すると、PARDはこの着弾画面の写真を撮影し、射手は中心に見える✖印のカーソルを着弾点へ動かすだけ。この作業でゼロインが完了してしまいます。PARDの凄さ②、⓷、④は次号へ続く。
【ど真ん中】
実際のゼロインでは念のため、3発(中央左上)の試射後、カーソル移動操作を行いました。結果は上図。実際には3発の射撃は不必要で、1発後にカーソル移動操作を行えばゼロインは整っていました。
正直なところ、デジタルライフルスコープがここまでの使い易さだとは想像していませんでした。今回は触れませんが、レチクルのデザイン、色が変更できることに加え、ゼロインデータを5パターンまで記憶させることができます。
つまり、重さが異なるペレットやスラッグ毎に、あらかじめ設定をしておいたゼロインを瞬時に呼び出すことができます(*本モデルでは5パターンのメモリーを確認)。こうした機能は、ハイエンド向けのライフルスコープではマルチゼロインとして搭載されているモデルはありましたが、デジタルライフルスコープでは当たり前の機能になっていることろが、市場競争の恐ろしさであると感じます。
個人的にはガラスレンズを使った純粋なライフルスコープの光学設計が好みではありますが、射撃および狩猟向け光学機器市場の新しい競争局面へ向けた各社の活発な動きは、消費者にとって大変おもしろい時代になってきたとも言えます。
【選択肢の多い時代】
【初心者の方にこそ】
ライフルスコープという光学機器の設定は少し専門的な部分があります。射撃距離とそれにまつわる数字の云々というのは知識と経験が無い人には???となってしまうかもしれません。
結果として、本当は楽しいはずの射撃が、苦手の数字を並べられてしまうことで逆にストレスに感じることもあるかもしれません。当方はエアライフルを使った長距離射撃に取組んでいる為、エラタック傾斜マウント関連の記事で度々出てくるような数字に対する多少の理解は避けては通れない道と捉えて日々精進しておりますが、これらは全ての方々に不可欠な知識ではありません。
試射を終えて思うことは、古典的なライフルスコープよりも、初めての方にはこうしたデジタル光学機器を使って戴いた方が、面倒な設定に頭を悩ますことなく、純粋に射撃を楽しんで戴ける(*先ずは狙った所に当てたいという欲求に叶う装備)のかもしれないと率直に感じました。
自分が持てる限られた時間や費用(予算)、そこから期待される効果(成果)。タイパ、コスパという意識が社会の広い範囲へ浸透し、一方で選択肢の多い時代に我々は生きています。じっくり取り組みたい方、最新技術への関心が高い方、それぞれ自分のスタイルに合った狩猟向けの光学機器えらびを戴ければと思います。